2023年卒の新卒採用の動きはどうなるのか?
2022年卒の新卒採用は、2021年卒の新卒採用に引き続き、新型コロナウイルスにより採用市場に大きな影響を与えました。
コロナの影響を受けなかった2020年卒の新卒採用までは、求職者が有利な状況(売り手市場)が続いていました。
しかしコロナの影響を受けた2021年卒の有効求人倍率は1.53倍、前年の1.83倍に比べ0.3ポイントも下がりました。
2020年卒以降の売り手市場の終焉はコロナ以前から予測されていましたが、その予測を超える下降を見せたのです。
※参考:プレスリリース「第38回 ワークス大卒求人倍率調査(2022年卒)」
一方、2022年卒においてはさらなる悪化に見舞われるかと思いきや、リーマン・ショックほどの下落はありませんでした。
有効求人倍率も1.5倍と、前年比0.03ポイント下がるだけにとどまっています。
つまり、売り手市場は終焉しましたが、買い手市場ほどにはなっていない、ということです。
この数字は、企業側がバブル崩壊後の就職氷河期、リーマンショックでの失敗(新卒採用の極端な抑制により次世代人材の不足・いびつな従業員人口ピラミット)から学び、経済的打撃はあったものの一気に求人を絞るようなことをしなかったからだと思われます。
※詳細は『採用サイト2022年卒向けは必要か-2022年卒の新卒採用の動きから-』にて言及
また、リーマンショックの時との違いは他にもあります。
リーマンショックでは満遍なく全業種の経済状況に悪影響を及ぼしましたが、コロナでは旅行(宿泊)や外食など、打撃を受けた業種に偏りがありました。
そのため、2022年卒の有効求人倍率の下降はほぼ横ばいになったと考えられます。
もちろん最初の緊急事態宣言(2020年4~5月)では一部を除くほぼ全ての産業が影響を受けましたが、それでもトータルでの期間をみると新卒採用領域においては、リーマンショックに匹敵するほどではありませんでした。
そして2021年6月上旬現在で、有効求人倍率では一定数回復傾向にあると予想されます。
2022年卒が底となり、2023年卒新卒採用では2022年卒と同程度か、もしくは上昇の可能性も視野に入れた採用計画がベターといえるでしょう。
有効求人倍率の推移について、緊急事態宣言解除のタイミングや再度の緊急事態宣言の可能性も考慮する必要があります。
感染症の専門家ではないので正直一個人の予測にすぎませんが、もし今回の緊急事態宣言が予定通り6月20日に解除されれば、何かしらもう一波(第五波)がくるのではないかと思っています。
まだワクチン接種が不十分な中、オリンピックが開催され、海外からの往来も増えれば、揺り戻しは当然おきるでしょう。
2021年6月中や7月中にワクチンが日本全国へ行き渡るとは思えず、最速でも秋頃、想定としても年内、場合によっては来年3月まで時間を要するかもしれません。
仮にオリンピック終了まで宣言を解除しないのであれば、第五派に相当するほどの感染拡大はないのでは、という印象ですが。。。
一方で、変異株も出現する中で、もしワクチンの効果性低下や副作用といった負の側面が浮上してきたら、経済環境の変化と共に採用状況も一遍するかもしれません。
あくまで現状の延長レベルであれば、2023年卒の新卒有効求人倍率もこれ以上、極端に下がることはないだろうと予想しています。