01_予想を裏切られた2025年卒の採用市場
まず、2025年卒の新卒採用の市場予測について、振り返りたいと思います。
結論、2025年卒は、私が思っていたよりも有効求人倍率は伸びず、数値上だけでしたら、そこまで売り手市場加速しませんでした。
(「 2025年卒向けは転換期-2025年卒の新卒採用に向けて 」はこちらから)
「もっと有効求人倍率は伸び、売り手市場がより鮮明になる」と思っていたのですが、想定していたよりも伸びませんでした。
2025年卒の有効求人倍率は、前年度の1.71倍から、わずか0.04ポイント上昇した1.75倍。
コロナ渦の影響を受けた2023年卒の有効求人倍率は1.58倍、そこから2024年卒は1.71倍まで回復していたため、経済も回復してきた2025年卒はさらに売り手市場が伸びるだろうと予測していました。
しかし、実際は前年に比べて、0.04ポイントしか伸びず、個人的には思ったよりも有効求人倍率は伸びない結果となりました。
売り手市場傾向であるということに間違いはありませんが、なぜ微増にとどまったのでしょうか。
現状をしっかりと理解するために、大企業と中小・中堅企業で、分けて市場を考えて読み解いていきましょう。
・中小企業(300人未満)
全体の有効求人倍率が1.75倍に対し、中小企業の有効求人倍率は6.5倍でした。
この数字は、コロナ前のピークに次ぐ水準にあがってきていることを示しています。
売り手市場となっており、中小企業では、人材を確保するために、新卒採用は激戦の時代となってきていると言えますね。
・中堅企業(300~999人)
中堅企業での有効求人倍率は、1.6倍。
この数字は、2010年以降、もっとも高い数字となっており、中堅企業でも売り手市場になっており学生有利になってきている状態だと考えられそうです。
・大企業(5,000人以上)
大企業の有効求人倍率は、0.34倍となっており、ここが今回、予想よりも伸びなかった大きな要因の1つとして考えられる点です。
日本の人口動態を考えると、少子化が進んでいる今、大手企業も「売り手市場になっていくのでは?」と思いますよね。
しかし、大手企業の有効求人倍率は、前年度の0.41倍から0.34倍に減少しています。この数字は、2010年以降、もっとも低い数字となっており世間の売り手市場とは違った結果になっています。
上記のことから、全体の有効求人倍率が微増だったのは、大手企業の有効求人倍率が減少したことが影響していると言えるでしょう。
では、なぜ大手企業の有効求人倍率は減少しているのか。
次章では、2025卒の大手企業の売り手市場が伸びなかった原因について、考察とともに解説します。