就活コラム

プレミアムフライデーの経済効果はあるのか

2017/12/20

Column

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1. プレミアムフライデーの持つ経済効果

ここでいうプレミアムとは、月に1度は金曜日をより有意義にするという目的によるものです。日本人の現状から見る有意義さについて、政府の定義では人間の基本行動である消費をメインに捉えています。つまり、労働時間を少しでも減らして早い時間から買い物に出かけて、結果的に日本の経済の改善にも繋がるという好循環モデルを指針としている訳です。また、この消費促進にはもう1つの目的があり、それは仕事の時間が少なくなった分だけ家族に時間を注ぐことがあります。家族と過ごしながら食事などを外で進めることで、経済活性化を国民に担ってもらうという意味も持つのでしょう。

 

さらに、経済効果にはダイレクトには繋がりませんが、労働時間が減ることによって各労働者に精神的なリラックスが得られやすくなるのも事実であり、長期的には職場環境の改善と認識されやすくなりますので各企業における収益アップとして現れていく効果も期待できます。

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2. 経済効果を実現しているメインの層は?

さて、プレミアムフライデーの経済効果を享受しているのはすべての日本人なのでしょうか?日本の職場の現状を見てみると、夕方定時に当たり前に終業できるところは著しく少ないと言わざるを得ないでしょう。増してやプレミアムフライデーが推奨している午後3時終業となると、多くの職場では実現が難しく、結果的に【プレミアム】さを享実現できているのは大企業所属スタッフや公務員として従事する方がメインとなっています。また、プレミアムフライデーでは時間を有意義に使うことを目的としているため、非正規職員などの固定給でない方になるとむしろ収入が減ってしまうことになりかねません。

 

2000年代になって正規職と非正規職との経済的な格差が大きく進んでいますが、皮肉にも政府主導のプレミアムフライデーによってそれがさらに顕著になってしまうとは何とも皮肉なものです。かつては同じ誰もが終身雇用条件であった日本ですが、それが過去のものになった今では経済政策の普遍的な効果が得られにくくなっています。

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3. 経済効果が得られる一方で矛盾も?

プレミアムフライデーの経済効果が一定程度存在することは認めつつも、それを実現する人のその対岸にあるいわゆるサービス提供側においては矛盾も生じてきています。労働時間が減って消費する側にとっては良い制度であっても、サービス提供側に従事するスタッフの立場からすれば従来の労働時間よりもさらに長くなる一面があることは意外に認識されていません。本来、消費によって収益を上げている業界というのは、一年でも繁忙期と閑散期がハッキリしていたものですが、このプレミアムフライデーによって繁忙期が増えることになり、労働者からすると休みが少なくなるなどの現象を引き起こすのです。

 

サービス提供側のスタッフも非正規化が進んでいることもあって、プレミアムフライデーの日本全体での経済効果認識は大変難しく、現状では一部の人のイベントとなってしまっています。

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4. プレミアムフライデーの経済的将来性

さて、プレミアムフライデーを考えた時にこれが将来的にも経済効果が続くのか、それとも一過性のものに終わるのかは疑問に感じる部分でもあります。客観的に分析をしてみますと日本ではすでに少子高齢化も改善できないレベルにあり、このことは日常における消費を慢性的に落ち込ませる原因となるでしょう。

 

雇用条件において給与と休暇のバランスが取れている職場が少なくなっていることもあり、将来的にプレミアムフライデーを実現させられる日本人は明らかに減少し続けるはずです。また、政府は今後もプレミアムフライデーに似通ったイベント政策を打ち出してくることが大いに予想され、前項でも触れたサービス提供に従事する日本人はさらに労働拘束時間が長くなっていきます。

 

日本人にとってまさに【諸刃の剣】と言える存在であるプレミアムフライデー、政治家は消費促進だけでは日本経済を救えないことをもっと知るべきではないでしょうか?

2017/12/19

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