就活コラム

プレミアムフライデーの成否、現実的にはどちら?

2018/01/11

Column

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1.プレミアムフライデーとは?

まずプレミアムフライデーのとは何かについて、お伝えします。プレミアムフライデーとは、経済産業省(以下、「経産省」とします)のホームページによると「月末の金曜日に、日常よりも少し豊かな時間を過ごす」ことだそうです。 

 

この取り組みは、「官民で連携し、全国的・継続的な取組となるよう」(経産省ホームページより)、個人が幸せや楽しさを感じられる体験(買物や家族との外食、観光等)や、そのための時間の創出を促すことで

(1) 充実感・満足感を実感できる生活スタイルの変革への機会になる

(2) 地域等のコミュニティ機能強化や一体感の醸成につながる

(3)(単なる安売りではなく)デフレ的傾向を変えていくきっかけとなる

 

 といった効果につなげていく取組」とも書かれてあります。

 

また「平成29年2月24日金曜日」から始まったこの取り組み。「平成29年9月29日現在で、7,900件を超える企業・団体」(経産省ホームページより)が活用しているそうです。

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2.プレミアムフライデーを楽しむ人、続々!?

記憶に新しい方もいらっしゃるかと思いますが、平成29年6月27日付朝刊の読売新聞にあった「プレミアムフライデー定着の兆し」という記事の体裁をとったかたちの広告は、私にとってはある種衝撃でした。この記事風広告を出したのは、勿論主催者の「プレミアムフライデー推進協議会」。

 

しかもその広告を読み進めていくと、「3人に1人が“プレ金(プレミアムフライデーの略語)”に参加」という文字があったことに衝撃を感じずにはいられませんでした。 

 

しかし何よりも「早く帰れなくても“豊かな週末”を楽しむ人続々」と言う言葉には、元々の主旨だった“月末金曜日は、早く帰る”という取り組みは一体どうなったのか!?と思わずツッコミを入れずにはいられない内容が書かれてあったのです。 これはあくまでも広告なので、プレミアムフライデー推進協議会も、プレミアムフライデーが成功だと明言している訳ではないと思います。 

 

ただ「プレミアムフライデーが、かつての『花金』のように、国民の豊かな時間を生む文化として定着するよう、経団連としても引き続き応援していきます」と日本経済団体連合会の石塚邦雄副会長からのコメントを読むと、現実との距離感を感じずにはいられません。

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3.プレミアムフライデーと非正規雇用者

ただそもそもプレミアムフライデー推進協議会の方々は、非正規雇用者(以下、「非正規」とします)の方のことが念頭にあったのでしょうか?もし非正規がプレミアムフライデーに取り組んでいる会社に勤めていたら、早く帰る分、給料が減るということまで気がまわっていたのでしょうか?

 

もしかすると中には早く帰れて嬉しいという非正規の方もいらっしゃるかもしれません。ただ、全員が「早く帰れて嬉しい」と感じることは、おそらくないと私は思います。 一方正規雇用者(以下、「正規」とします)も、上司や先輩が仕事をしている中、先に帰れる環境が勤務先にはあるのでしょうか。もしそのような環境が整っている会社であれば、問題はないでしょう。

 

しかし、勤務先にそのような環境がないならば、プレミアムフライデーはまさに「絵に描いた餅」状態。これほど虚しいことはないのではないでしょうか。

 

こうやって改めて考えてみると、正規・非正規にかかわらず、プレミアムフライデーにより「月末の金曜日に、日常よりも少し豊かな時間」を過ごしている方は、実際のところ本当にいるのかと疑問を感じずにはいられません。

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4.プレミアムフライデーは成功だったのか?

以上によりプレミアムフライデーは、非正規にとっては、給料が下がる取り組みであり、正規にとっては、現実味のない取り組みに他なりません。 

 

しかし、経産省のホームページには、「生活の豊かさや幸せを実感できる魅力ある商品、サービス等の提供及びそれを楽しむ「プレミアムフライデー」は、消費活性化や、働き方・ライフスタイルの改革につながる官民連携の取組であり、地方にも浸透するよう、その定着・拡大を図る」とあります。この主催者と「多くの方」の現実との埋められない距離感が立ちはだかる限り、私はとてもこの取り組みが成功だとは思えないのです。

 

もうすぐプレミアムフライデーが始まって1年が経とうとしています。プレミアムフライデー成功の鍵は、まず圧倒的多数の“多くの方”の「現実を知る」ことではないでしょうか。

2018/01/10

プレミアムフライデーで私たちにメリットはあるのか